小児医療において、成長曲線は発達の異常を見つけたり順調な成長を確認したりするための欠かせない道具です。長いあいだ、過去のデータに基づく国ごとの成長曲線が使われてきました。ところが2006年、世界保健機関(WHO)が世界のスタンダードを作り直す画期的な参照データセットを発表します。ここでは、WHO基準を支える科学をご紹介します。
多中心成長参照研究(MGRS)
WHOの基準は、国ごとの身長・体重の平均値を集めたものではありません。その土台にあるのは、1997年から2003年にかけて実施された厳密な多中心成長参照研究(MGRS)です。ブラジル、ガーナ、インド、ノルウェー、オマーン、アメリカで、多様な民族的背景と環境をもつ8,440人の健常な子どもたちを追跡しました。Multicentre Growth Reference Study (MGRS), a rigorous study conducted between 1997 and 2003. The study tracked 8,440 healthy children from diverse ethnic backgrounds and environments: Brazil, Ghana, India, Norway, Oman, and the United States.
WHOのMGRSが描き出そうとしたのは、あるひとつの国で子どもがどう育つかではなく、栄養・健康・環境の条件がきちんと整ったときに、子どもがどう育つべきかでした。how children grow in a single country, the WHO MGRS was designed to describe how children should grow when their nutritional, health, and environmental needs are met.
研究の主な基準
ゆがみのない規範的な参照曲線を確立するため、MGRSの対象となった子どもたちは、厳しい健康条件を満たしている必要がありました:
- 母乳育児: 生後4か月以上は母乳のみ(または母乳が主体)、さらに12か月以上の母乳の継続。Breastfeeding: Exclusive or predominant breastfeeding for at least 4 months, and continued breastfeeding for at least 12 months.
- 母親の非喫煙: 妊娠前・妊娠中・妊娠後を通じて喫煙していないこと。Maternal Non-smoking: Mothers did not smoke before, during, or after pregnancy.
- 良好な環境: 低地であること、深刻な大気汚染にさらされていないこと、きれいな水と医療を受けられること。Optimal Environment: Low altitude, no exposure to high pollution, and access to clean water and healthcare.
- 予防接種: 定期の小児予防接種をすべて予定どおり受けていること。Immunization: Full compliance with routine childhood immunizations.
保護者にとっての意味
WHO基準が規範的であるということは、単なる平均の記録ではなく、一歩先を行く健康基準として働くということです。健やかなスタートを切れば、遺伝的な背景に関係なく、世界のどの地域の赤ちゃんも驚くほどよく似たかたちで育つ――この研究はそれを証明しました。
WHO基準をものさしにすれば、身長対年齢・体重対年齢・BMI対年齢のずれをいち早く見つけられ、必要な栄養介入や医療的な対応を素早く始められます。